激闘! ソロモン海戦史DX


対応機種 Windows 95/98/Me
価格 9800円
発売年 2001年
備考 ネット対戦可

更新 : 2001/04/14 初出 : 2001/03/20


紹介
皆さん。待望の「激闘!」シリーズが帰ってきました。
ジェネラル・サポートを一躍有名にした「激闘! ソロモン海戦史
その「激闘! ソロモン海戦史」が、Windows対応版となって帰ってきたのです。
太平洋戦争最大の激戦地の一つ、ソロモン海域での夜間砲雷撃戦をメインに扱った、戦術級シミュレーションゲームです。
プレイヤーは、日本軍または連合軍の艦隊を操作し、海戦毎に設定された勝利条件をクリアする事を目的としています。


内容説明
基本的な舞台設定はDOS版と全く変わりありません。
一応、繰り返しておきましょう。
このゲームは、その舞台を、夜中の23時から1時までの2時間だけに絞ったところに、最大の特徴があります。
この舞台設定により、深夜に行われた水上艦艇同士の砲雷撃戦の再現のみに的を絞ることができたため、非常にクオリティの高い作品に仕上がっています。


「夜戦」と言えば、真っ先に思い浮かべるのが「九三式酸素魚雷」です。
その大威力はDOS版と同じです。
やたらと装甲の厚い米戦艦相手に、凛然と、決戦兵器としての存在感を敵味方に対して放っています。
比叡、霧島の36cmをも弾き返す強力な米戦艦を撃破しうる、巡洋、駆逐の必殺兵器です。

そして日本海軍の優秀な見張員の眼とSGレーダーの無言の戦いも再現されています。
夜間索敵能力の優劣は、そのまま海戦の行方を決定づけることが多いです。
暗闇から突如放たれる敵砲火、そして忍び寄る雷跡。
これほど悔しい一瞬はありません。
一方的な先制攻撃を如何にして避けるか、そして如何にして浴びせる側に回るか。
指揮官である貴方の腕の見せ所は、ここに尽きます。


基本コンセプトはDOS版を参考にしていただくとして、ここではDOS版と異なる点を挙げていきましょう。

まずは艦船データの変更。
数値を見た限りでは、これらの艦型のデータが修正されています。
大和、ノースカロライナ、サウスダコタ、アイオワ、ブルックリン、クリーブランド、パース、リアンダー
どう変更されているかと言うと、装甲が厚くなってる(号泣)
はっきり言って「よりによって」という艦が頑丈になってやがっています。
ブルックリン、クリーブランドに至っては砲塔の装甲厚が+2されており、タダでさえ「嫌な奴」がそのイヤ度を2階級特進させています。
駆逐艦の主砲で叩くのはかなり辛いかも知れません。

次に、レンジ(距離)の変更。
以前は、近(4000m)、中(10000m)、遠(16000m)の3区分でした。
今回は、至近(4000m)、近(8000m)、中(12000m)、遠(16000m)、大遠(20000m)の5区分に拡張されています。
この結果、砲雷両方ともほとんどの種別で射程が伸びています
特に注意しなくてはいけないのが、53cm魚雷の射程が倍増していることです。
以前は射程4000mだったものが、今回は8000mになっており、米駆も魚雷をがんがん撃ってきます。
また火災を生じている艦が退避する場合、以前は距離16000mを超えれば安全に逃げられましたが、今度は20000まで砲弾が追いかけてきます。
相手に戦艦がいる場合はかなり絶望的でしょう。
そして装甲厚0の日本駆逐艦は、一度見つかって探照灯で照らされた日には、20000mの彼方からでもがすがす弾を撃ち込まれて損害続出でしょう。
はっきり言って、この変更だけでも難易度を相当高くしています。
くじけずに頑張ろう!(;_;)/

また、微妙なところですが、実際にやってみて意外に影響が大きかった変更点が、射界の変更。
以前は、前方、中央、舷側、後方の4種類でした。
今回は、前方、中央、舷側、後方に、舷側前方、舷側後方、舷側旋回というものが加わり、射界が広くなっています。
わかりにくいと思いますので、代表的なところを挙げましょう。
例えば、大和の舷側副砲は舷側旋回に分類され、前方0度から後方180度まで片舷180度全てをカバーできます。
またサウスダコタの高角砲のうち、前部2基は舷側前方に、後部2基は舷側後方に分類され、それぞれ135度の射界を持っています。
この結果、DOS版では前後方への小中口径火力が比較的弱かったのが今回はかなり補強され、迂闊に近寄れなくなっています。
高角砲が前方射界に向けて撃って来た時は、結構驚きました。

最後に、シナリオ毎のデフォルト命中率の変更。
DOS版ではシナリオ選択時に両軍とも一律で砲撃25%、雷撃8%でした。
それが今回はデフォルト値がシナリオ毎に異なっており、「第三次ソロモン海戦(14日)」では日本側砲撃20%とか低い値に設定されています。
ゲームを始めてからどうも当たらないなと思っていると、デフォルトの命中率が低くされていたりするので、注意が必要です。
また命中率の算定方法も、以前は距離や角度などの要素に応じてプラス○%、マイナス○%を合算していく方法でした。
これが今回は、距離や角度などの要素に応じて1.2倍、0.8倍を乗じていくという方法に変更されています。
結果的なバランスはそうは変わっていませんが、命中率に拘る古参のプレイヤーにとっては気になるところでしょう(笑)

DXにおける改変点で私が注意すべきだと感じたのはこのくらいです。
総じて、「戦艦に有利」に変更されているように感じました。
他に情報がありましたら随時お知らせ下さい。


さて、今回のDXの最大の売りは、「フリーセットアップ(自由編成艦隊海戦モード)」と「インターネット対戦」の追加の2点です。
まず「フリーセットアップ(自由編成艦隊海戦モード)」について。
これはDOS版の頃から、ファンにとっては熱望されていたオプションでした。
フリーセットアップは「激闘! 欧州海戦史」で実現されていましたが、使用可能なのは戦艦のみ、舞台は昼間のみという点に不満が残りました。
ソロモンDXでは、夜戦、しかも巡洋、駆逐が参加可能という点で、これらの要望に応えています。
もちろん大艦巨砲主義に徹しても構いませんが、巡洋・駆逐のみの水雷戦隊で敵主力艦戦隊への夜襲が可能だという点が最大の魅力です。
更に戦場となるマップも、だだっぴろい大海原とあの鉄底海峡の2つを選択可能。
鉄底海峡に「大和」を突撃させるも良し、佐藤大輔ばりに超甲巡「新高」を登場させるも良し、仮装戦を存分に楽しむことが出来ます。

ただ、惜しむらくは、選択可能部隊に「水雷戦隊」の名前がないこと、それと提督、司令官が自由に選べない点でしょうか。
この戦隊にはこの司令だ! というプレイヤーの拘りもあるはずですが、それが発露できないのが残念です。
ちなみにフリーセットアップでは、未成艦や対戦が実現しなかった艦がいくつも出てきます。
未成艦では、日本の超甲巡「新高」「富士」、「島風型」の2番艦から8番艦、アメリカの大戦艦「モンタナ型」、「ニュージャージー型」の5、6番艦などが選択できます。
実在艦では、イギリス戦艦戦隊を始め、従来のソロモンに登場しなかったモンスターCA「バルチモア型」すら選択可能です。
発売後も新たな艦をジェネラル・サポートのホームページからダウンロード可能なようになっています。(アップデート・プログラムとして提供されている)
私の念願だった「日進」もリリースされて、個人的には大満足状態です\(^o^)/

次に「インターネット対戦」について。
これはもう解説不要ですね。
ジェネラル・サポートが用意したサーバーに接続できれば、インターネット上の誰とでも対戦が可能です。
またLAN対戦も可能です。
ご家庭で、職場でLAN対戦。。。って、問題は職場のPCにゲーム入れちゃダメってところも多いって辺りですが(;_;)
モバイル接続が可能になったら、それこそいつでもどこでも対戦可能という、なんだか嬉しいような仕事にならないような感じになりそうです。

発売直後に上がった要望としては、特定の人とゲームをしたいという機能、対戦中の相手と会話をしたいというチャット機能などがあります。
これらはアップデート・プログラムの提供により既にサポートされています。
「ジェネラルサポートって言うくらいだからサポートは大切にしないとね」と、これは社長さんの談でした。
昔と違って、インターネットによるプログラム差分供給が可能なので、便利な時代になったものですねぇ(笑)


評点
操作系 基本的に全てマウスによる操作です。
ショートカットキーによるキーボードのみによる操作があれば良かったのですが・・・。
というわけで、DOS版ほど良好な操作性ではありません。あの軽快さを知っている方にとっては、ちょっと面倒に思えるでしょう。
Windowsのゲームとしては標準的なインタフェースでしょう。
★★★
グラフィック ゲーム画面もDOS版とほぼ同一。
艦艇の図面は水上部分・側面図のみ。
艦艇CGはカラーですが、昨今の高画質CGを見慣れてしまうと、古めかしい感は否めないというところです。
ただゲーム内で使う画像と共用なので、見せるだけ専門のCGと比較するのも酷かなという気もします。

それと周囲からの評判で比較的多かった要望が、画面が狭いということでしたが、これはアップデート・プログラムの提供により解決されています。

★★★
音楽 MIDIを使っており、オリジナル曲も使用しています。
となると、必然的に他のゲームと対等の舞台で比較されることになりますが、正直、分が悪いです。
他のゲームは音楽に昔からかなり力を入れていたので、相対評価では追いつくのは難しいと思います。

ところで、DOS版では絶えず流れていた(はずの)あの名曲「行進曲・軍艦」が戦闘画面で流れなくなってしまったという点が、かなりポイント落としています。
「行進曲・軍艦」は、DXではソロモン・キャンペーンシナリオの戦況報告画面でのみの登場です。
「激闘! ソロモン海戦史」の音楽面での代名詞だった「行進曲・軍艦」は是非とも選択可能にして欲しかったですね。
まぁ、ちょっとパソコンわかる人ならどうとでもなりますけどね。
ソロモン海戦史DXをインストールしたディレクトリに「SOLMSC1.mid」というファイルがありますが、これが「軍艦行進曲」です。
ちなみに「SOLMSC2.mid」が戦闘画面でのデフォルトBGM、「SOLMSC3.mid」がOPのBGMです。
「行進曲・軍艦」でないと燃えないという「ソロモン病」な貴方、MIDIを全部これに書き換えれば「行進曲・軍艦」づくめになります(笑)
私、試しにやってみましたが、やはり壮烈に燃えます(笑)
但し、くれぐれもご自分の責任においてやって下さいね。
何か不具合起こしても当方は責任は取れません。

というわけで、「行進曲・軍艦」が選択不能という点を大きくさっ引いて。。。

オープニング DOS版同様、オープニングはテキストによる背景説明と取込みCGだけです。
質実剛健一直線です。媚びない。ゲームは中身で勝負。昔から姿勢が徹底しています。
が、アドバンスト大戦略等のかなりセンスのいいOPアニメーション(実写取り込み含む)が出現した今となっては、挑戦してみて欲しいという気もします。
後は、価格との見合いですが。
そんなわけで、評価はちょっと厳しく・・・社長様、すいません。
★★
資料価値 ジェネラル・サポート名物、分厚いマニュアルは今回も引き継がれています。
第一版のマニュアルはDOS版の120ページに対して164ページを数えています。 そのうち約20%が参考資料に充てられています。
基本的にDOS版のマニュアルと同じ内容ですが、ちょっと補足されています。
簡潔な説明ですが艦艇データから専門用語の解説までと項目数が多く、密度の高い仕上がりです。
提督の略歴も掲載されており、その数もシナリオ増加に伴ってDOS版の83名から115名に増えています。
。。。マニュアルの完成度が高いから副読本が出ないんだろうなぁ。
★★★★★
難易度 「激闘!」シリーズをソロモンDXで初めてプレイされるという方、このゲームはこういう感じです。
とっつき易さという点では、単に視界内の敵を大砲と魚雷でぼてくりこかせばいいゲームなので難易度は低いです。
しかし勝敗となると、難易度はとたんに跳ね上がることになります。
特に、米軍の電探搭載艦がわらわら湧いて出て来るようになると、日本軍はかなりきついでしょう。

DOS版をプレイした方にとっては、バランスの変更が気になるところでしょう。
とにかく、米戦艦は沈みにくくなりました。
タダでさえ嫌な相手だったのが、より一層憎たらしい相手になっています。
何とかして付け入る隙を探し出して下さい。
電探装備の戦艦相手には、たぶん必勝法はないです(T^T)

★★★★
総評 DOS版の頃からのファンだった私にとっては、リニューアル版の登場は待ちに待ったという感じで非常に嬉しい限りです。
しかもDOS版で欲しかったあのフリーセットアップ(自由編成艦隊決戦モード)が追加されているのです。
これ以上いいことがあるでしょうか。
まだ持ってない方、買って下さい。
決して損はしません。
★★★★★

「激闘! ソロモン海戦史DX」は、株式会社 ジェネラル・サポートの著作物です。


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