激闘! ソロモン海戦史


対応機種 PC-9801 VM/UV以降
価格 9800円
発売年度 1993年
備考 HDD対応 要MS-DOS2.11以降


紹介
ジェネラル・サポートの海戦シミュレーション作品第一弾です。
太平洋戦争最大の激戦地の一つ、ソロモン海域での夜間砲雷撃戦を扱った、戦術級シミュレーションゲームです。
プレイヤーは、日本軍または連合軍の艦隊を操作し、海戦毎に設定された勝利条件をクリアする事を目的としています。


内容説明
このゲームは、その舞台を、夜中の23時から1時までの2時間だけに絞ったところに、最大の特徴があります。
この舞台設定により、深夜に行われた水上艦艇同士の砲雷撃戦の再現のみに的を絞ることができたため、非常にクオリティの高い作品に仕上がっています。


夜戦での主役は、言うまでもなく、九三式酸素魚雷です。
“殺人者”と恐れられ、第三次ソロモン海戦で、ルンガ沖夜戦で、嫌というほど見せつけたその大威力は、ゲーム上でも健在です。
“長槍”と恐れられた、戦艦の主砲砲戦距離に匹敵するその大射程も、もちろん再現されています。
さすがに酸素魚雷特有の薄い雷跡“青白さ”は表現のしようがなかったようですけども。

とにもかくにも、この悪魔的なまでに強力な九三魚雷だけが、日本艦隊の拠り所です。
鳥海の20センチ砲は頼りになりますが、何発命中してもサウスダコタは撃沈できません。
比叡や霧島の36センチ砲をもってしても、そう簡単にはワシントンの装甲は破れません。
ところが、九三魚雷は3本命中すれば、例え戦艦であろうともその戦闘力を奪い去ることが出来ます。
装甲のやたらと分厚いアメリカ戦艦を撃破するには、金剛よりも長門よりも、一個駆逐隊4隻の駆逐艦が有効なのです。
・・・それよりも1隻の大和と断言する人もいらっしゃいますが。


もう一つ、このゲームには主役がいます。
日本における、徹底的な訓練を施された見張り員の眼・・・。
アメリカにおける、ようやく実戦部隊に配備され始めたばかりの最先端科学兵器レーダー・・・。
それは、夜間索敵能力です。
日本に、例え九三魚雷があろうとも、例え大和がいようとも、敵を見つけることができなければ、その威力は全く発揮されません。
レーダーは強力です。日本軍の索敵能力を凌駕しています。
レーダー搭載艦は、暗闇の中から一方的にこちらを攻撃してきます。それは実に悔しい一瞬です。
その被害をどれだけ局限するか、そしていかに有効な反撃を加えるか・・・

大破し、炎上し、航行能力すらも失い、ただ漂流するだけの味方艦の脇を最大戦速で突き抜け、その向こうに微かに見える、しかし有力な巡洋艦を主体とする敵艦隊に対し、片舷に指向でき得る全砲門を動員して猛烈な砲火を叩き付ける。
そして、圧搾空気の鋭い排気音と共に海中に踊り込む、全長9メートル、銀の殺人者、61センチ酸素魚雷。
各艦八射線。数十本もの魚雷が、敵艦隊の脇腹めがけて海中を突進する。雷速50ノット。
時計を片手に、大口径望遠鏡に噛り付く水雷長。
容赦なく艦橋に降り注ぐ、火薬混じりの至近弾の水柱。
不意に敵艦隊の中で巨大な水柱がそそり立つ。
見張り員の興奮した絶叫。
「命中、命中っ!!」

この駆け引きこそが、この作品の醍醐味でしょう。


評点
操作系 キーボード、特にテンキーとカーソルキーのみで全ての用が足せるので、慣れればかなりスピーディな操作が可能です。
マウスにも対応していますが、これだけの数の艦艇をいちいちマウスで操作するのは面倒の一語に尽きるので、片手のみによる操作が可能である点は高く評価するべきでしょう。
★★★★
グラフィック ゲーム画面は実に古めかしい構成で、シンプルそのものです。
マップ画面など、余計な装飾一切なし。
グラフィックに拘ったゲームを見慣れた今の目からは、一見手抜きと見えてしまうほどです。
グラフィックの質の高さを求めるかたにはお勧めできませんが、ゲームをプレイする上では必要にして十分な着色がなされていることは確かです。
艦艇の図面は水上部分・側面図のみ。
線画・無着色ですが、資料集を覗いているようでセンス自体はいいです。
★★★★
音楽 これは、ジェネラル・サポート最大の弱点です。
とってもチープな音色が流れてきますが、使っている曲が軍艦マーチなので、燃えます。
ああ、えこひいき。
オープニング オープニングは、テキストによる背景説明と取込みCGだけです。
と言っても悪い意味ではありません。ひたすら質実剛健。媚びを売らない。ゲームは中身で勝負。姿勢が徹底しています。
下手なアニメーションを見せられるよりは、はるかに好印象を受けます。 そういった訳の分からないところに凝った挙げ句、値段が3000円も跳ね上がるのであれば、そんなものは切ってもらって結構。
そうは思いませんか?
★★★★
資料価値 120ページのマニュアルの1/3が参考資料に充てられています。
簡潔な説明ですが、艦艇データから専門用語の解説までと項目数が多く、密度の高い仕上がりです。
特に提督の略歴は有り難い限りです。机の横に置いておくといいかも知れません。
ゲーム中のデータ画面でも、実測データは参照できます。
★★★★★
難易度 とっつき易さという点では、単に視界内の敵を大砲と魚雷でぼてくりこかせばいいゲームなので難易度は低いです。
しかし勝敗となると、難易度はとたんに跳ね上がることになります。
特に、米軍の電探搭載艦がわらわら湧いて出て来るようになると、日本軍はかなりきついでしょう。
★★★★
総評 私は、大変気に入っています。
ルンガ沖夜戦を再現したいという人にはとてもお勧め。
でもキャンペーンモードの場合、駆逐艦は消耗品と割り切らないと、精神衛生上非常に悪いです。駆逐艦は残念ですがボカチンが普通ですから。
ちなみに私は「雪風」に傷がつくと、どんなに勝っていてもロードし直していました・・・ずるいですね。

惜しむらくは、この後の「激闘! 欧州海戦史」と「空母戦記」にはある、自由編成艦隊決戦モードがないことです。もし追加モジュールができるのであれば、ぜひぜひぜひ作って欲しいです。宜しくお願いします、ジェネラル・サポート様。

★★★★

「激闘! ソロモン海戦史」は、株式会社 ジェネラル・サポートの著作物です。


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