空母戦記


対応機種 PC-9801 VM/UV以降
DOS/V
価格 9800円
発売年度 1994年
備考 HDD対応 要MS-DOS2.11以降(PC98)


紹介
ジェネラル・サポートの海戦シミュレーション作品第三弾です。
西太平洋狭しと縦横無尽に駆け巡り、太平洋戦争の趨勢を決した新時代の海戦の主役、航空母艦同士の戦闘を扱った戦術級シミュレーションゲームです。
プレイヤーは、日本軍または連合軍の艦隊・航空隊を操作し、海戦毎に設定された勝利条件をクリアする事を目的としています。


内容説明
戦艦や駆逐艦が海戦の主役だった時代、艦隊を指揮する者たちにとっての目と耳は、大口径双眼鏡です。そして殴り合うべき拳となるのは、彼らの乗る艦の主砲であり、魚雷です。
しかし、太平洋戦争では、海戦はその様相を一変させます。
航空母艦という新たなる戦力をその中核に据えた艦隊を指揮する者たちにとって、目となり耳となり、そして殴り合うべき拳となるものは、全て航空機なのです。 数百キロの彼方の敵艦隊と、肉眼ではなく頭脳で向かい合う、新時代の戦争こそが空母戦なのです。


その空母戦の醍醐味と言えば、地味ですけども手に汗握る緊張感が味わえる索敵です。
敵艦隊が展開していると予想される海域へ手持ちの偵察機を放った後に指揮官を襲う、ひたすら発見の報を待つだけの不安と緊張。
敵発見よりも先に、こちらが発見されないことを願うだけの時間。

「敵空母見ユ」

索敵機の無電から放たれたこの短い、そう、この極めて短い電文が、それまでの重苦しい緊迫から指揮官を解き放ち、途端に指揮官を攻撃精神の塊と豹変させるのです。
この一瞬がたまらない快感なのですが、この「空母戦記」は、その醍醐味を十分に味わわせてくれます。


但し、このゲームでは、敵機が日本艦隊を見失うことはまずありません。
つまり一度見つかると、その艦隊の未来はかなり厳しいものになってしまうのです。
敵の攻撃隊は必ず、そしてすぐに飛んできます。
敵機の進攻を直掩戦闘機隊が食い止められなかった場合は、覚悟して下さい。
日本艦隊にとって、高角砲や機銃での敵機撃退は期待できません。理由は言わずとも・・・。
攻撃成功率がやたらと悪いTBDならばともかく、SBDの1個中隊に襲われたら最後、その空母が無傷で済むことはまずないでしょう。


日本軍プレイヤーにとっては、アウトレインジのみが勝利の方程式です。
マリアナ沖海戦の反省の弁を真に受けて、「肉薄しての反復攻撃こそ日本軍の神髄」などと思い込んでしまうと、機動部隊の消滅に直結します。
良くて両軍共倒れ、ほとんどの場合は日本機動部隊の惨敗です。
幸いゲーム上では、パイロットの疲労度は考慮せずに済みます。
また米軍ご自慢のCXBLレーダーの威力も、額面通り発揮されるわけではありません。
付け入る隙はここにありそうです。

逆に米軍プレイヤーとしては、如何にして日本軍の懐に潜り込むかが全てです。
日本機の特長は、呆れるほど長いその航続距離にあります。
変に間合いを取ってしまうと、遥か彼方から日本機が押し寄せてきて、あっという間に洋上から空母を消し去ってくれるでしょう。
もっとも、米軍の場合は日本軍と違って、直掩戦闘機隊と直衛艦が日本軍の攻撃隊を撃退できる可能性が残されているのですが。
まさに、レーダー様、VT信管様様、という感じです。


評点
操作系 激闘! ソロモン海戦史」、「激闘! 欧州海戦史」と同様、キーボードで全ての用が足せます。
操作に慣れてさえしまえば、マウスを使うよりも数段スピーディに操作をこなすことができます。
★★★★
グラフィック マップの縮尺を航空機の航続距離に合わせたので、当然ながら前々作前作と比べると、マップに占める陸地の面積が減りました。
そのため、ゲーム画面はやや空虚な印象を受けます。
その一方で、艦艇や航空機の図面は、遂にカラー化!
やっぱり零戦は飴色ですね。
艦艇図は、水上部分・側面図のみ、航空機も側面図のみです。
★★★★
音楽 相変わらずです。
1994年ともなると、徐々にですがMS−DOS環境からWINDOWS環境への移行が始まりだした時期ですので、各ソフトハウスともMIDI音源への対応などの高音質化が顕著になり、完全に見劣り(聴き劣り?)がするようになってしまいました。
特に問題はないのですが、三作目ですし、もうちょっと頑張ってみてもいいのではないでしょうか、というのが偽らざる感想ですか。
オープニング オープニングもいつも通り。 テキストによる時代背景説明と取込みCGだけです。
今回のCGは、日本海軍を代表する大型空母翔鶴です。
★★★★
資料価値 回を追う毎に次第に厚くなるマニュアルは、遂に170ページに達しました。
しかも密度の高さは保ったまま。
今回は空母戦がテーマですから、両海軍の航空畑の提督たち数名が紹介されています。
人数こそ少ないですが、その分一人当たりの解説量は増えています。
★★★★★
難易度 南太平洋海戦の時に隼鷹に座乗して指揮を執った角田少将のように、稼動全機を掻き集めて再攻撃。最後の攻撃隊はわずかに十機! なんてことも再現できてしまいます。
したくなくても大抵の場合こうなります。
米軍の対空砲火の強さが身に染みます。
反復攻撃など夢のまた夢。
出撃した攻撃隊の半数は帰ってきません。第一撃が全てを決します。少し考えてやらないと、いたずらに航空戦力を失うだけの結果になります。
やる時は大兵力を一気に投入、一気殲滅を狙うべきでしょう。
但し、索敵は確実に
艦種を見定めずに、敵艦隊を発見したという情報だけで囮の駆逐艦に百機以上の大攻撃隊を投入してしまい、再爆装に手間取っているうちに本隊を急降下で狙われて発着不能なんてことは、対人戦ではよくある戦法です!
★★★★
総評 索敵成功率がかなり高い点が気になります。
気象などの不確定要素をもう少し考慮して、失敗率を上げるなりしてくれた方が面白いように思います。
それと、せっかく空母戦に的を絞ったのですから、“1ターン=1時間”はやや長すぎるような気がします。“1ターン=30分”程度にしてくれた方が、より細かい戦術が再現できるような気もするのですが。
が、現在のところ市販されている日本製空母シミュレーションゲームの最高傑作であることには変わりありません。
特に母艦上での航空機の運用など、昔のボードゲームを思い出させます。
艦攻が甲板と格納庫を行ったり来たり、直掩戦闘機を優先させるか、艦爆を上げるか。戦場にいる空母の中は常に大混乱です。
ジェネラル・サポートの作品は、どれも気合いが入っています。
作り手の気合に応えてあげましょう。
★★★★

「空母戦記」は、株式会社 ジェネラル・サポートの著作物です。


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