タクティカル・タンク・コープス/
タクティカル・タンク・コープスDX


TACTICAL TANK CORPS TACTICAL TANK CORPS DX
対応機種 PC-9801 VX以降 PC-9801 VX以降
価格 9800円 9800円
発売年度 1994年 1994年
備考 HDD可 RS232C通信対戦可能 HDD可 RS232C通信対戦可能


紹介
GAMの作品です。
第二次世界大戦の戦車戦を扱った戦術級シミュレーションゲームです。
プレイヤーは、ドイツ軍・ソ連軍・アメリカ軍・イギリス軍・日本軍のいずれか一カ国の部隊を操作し、マップ毎に設定された勝利条件をクリアすることを目的とします。
タクティカル・タンク・コープス(以下、「無印タンク」と略す)と、改良版のタクティカル・タンク・コープスDX(以下、「DXタンク」と略す)とがあります。


内容説明
戦車戦を扱った非WINDOWS環境のコンピュータ・ウォー・シミュレーションとしては、非常に完成度が高い作品です。
プレイヤーは、戦車・自走砲から成る一個中隊を率いて、敵と相対することになります。


システムとしては、あの伝説と化した「大海令」と同様、リアルタイム制を採用しています。
まあ、あれほどひどくはなく、システムソフトの「大戦略3」、あるいは「大戦略’90」を思い浮かべていただければ、どのようなものであるかがお分かりになると思います。
プレイヤーの任意の場面で一時ゲーム時間を停止し、自軍ユニットに対して行動を指示することが出来ます。


ゲーム内容は、基本的に戦車同士の戦闘に限定された作りですので、ドイツ軍とソ連軍で争えば、これほど面白いものはないでしょう。
ドイツ軍ならば3号に始まり、4号、5号、6号の各戦車、そして優秀な各種駆逐戦車、ソ連軍であればT34、KV−1、そして恐怖のJS−2など、どういう編成をしても戦術次第で互角に争える、実にいい組み合わせです。
しかしこれもドイツ軍とソ連軍という、陸軍超一等国同士であればこその面白さです。

イギリスの歩兵戦車や巡航戦車もそこそこ強力なので、ここまでは正面きって戦うことが出来るかも知れません。
アメリカ軍と言えばやはりM4です。
しかし、M4で6号戦車に正面から戦いを挑みたくはないでしょう。
プレイヤーは頭をひねる必要があると思います。
が、しかし・・・。


日本軍でプレイすると、ノモンハンの日本軍戦車兵の悲劇をそのまんまなぞることが出来ます。
確かにどの書籍でも、「日本戦車はシャーマンどころか、M3にすら太刀打ちできなかった」だとか「同時期の列強に比べて5年は遅れていた」だとか、実に様々な口調で日本戦車のひどさを表現しています。
しかしどんなに文言を並べ立ててみても、感覚としては捕えづらいところがあります。
ところがこの作品で日本軍を担当すると、これが一発でわかります。
例えば、九七式中戦車でM4と市街戦を戦います。
九七式中戦車は機動力が良く、ほぼ理想的な射点に占位することができます。
私の場合は、M4の真後ろ、100mを切る位置に占位しました。
M4がこちらに気付き、砲塔が旋回を始めます。
こちらは「フッ、遅いわ」などとほくそえみつつ、引き金を引くわけです。

ガッ!!

砲弾が目標に命中した効果音がします。
しかし、すぐ後に続くはずの敵戦車の爆発音が聞こえてきません。
まさか、榴弾?
いや、しかし発砲したのは確かに徹甲弾だったはずです。
ましてやペイント弾などであろうはずがありません。(C)戦略大作戦
しかも真後ろ、装甲が比較的薄い場所なはず・・・。
しかしM4は依然としてそこに存在し、あまつさえ砲口をこちらへ向け、そして発砲!

ガッ!!
ズズーン!!

なぜだあーーーーーッ?!(絶叫)

この後、同様の戦法(真正面から撃って撃ち抜けるはずがないので、後方に肉薄して叩くしかないから)を続けます。
そしてその結果・・・。
敵M4、3輌に対し、九七式中戦車12輌、全滅・・・。
かすり傷一つ負わせることが出来ず、全滅したのです。

なんぢゃ、こりゃあーーーーーッ?!(C)松田優作

M4ですらこの調子です。
これが傑作戦車5号パンター、重戦車6号タイガー2、陸の化け物JS−2などと戦わせてみようものなら・・・。


百聞は一見にしかず。
しかもこれが紛れもない現実としてその身に迫った日本軍戦車兵、発狂した人がいたというのもうなずけます。


評点
操作系 これがあの「太平洋の嵐」と同じGAMの作品か、と思えるほど整備されています。
デザイナーズ・ノートをのぞくと、以前の作品を指して「グラフィック、操作性に難があり、一般向けではなかった云々」と反省の弁が書き連ねてあります。
やはり、相当叩かれたのでしょうねぇ(笑)
さてこのゲームは、フル・マウス操作です。
アイコンも良く考えられており、操作系のとっつき易さでは光栄に肩を並べるでしょう。
もっとも、キーボード至上主義の私にとっては、フル・マウスは少々厄介な操作系でした。
やはりマウスよりもキーボードの方が早いですね。
★★★★
グラフィック 線画・側面図のみですが、非常にセンスはいいです。
登場兵器数は約280種類で、その全てにグラフィックが完備されています。
★★★★
音楽 これもGAMの作品かと思えるほどに、洗練されたBGMが使用されています。
特にドイツ軍のメインテーマは、「これぞ重戦車!」という重厚感溢れるテーマで、プレイヤーを奮い立たせてくれます。
その他も、イギリスや「砂漠の狐」のテーマなど、同時代の他のゲームに比べても上質のセンスを備えています。
★★★★★
オープニング 無印タンク、DXタンクで変わりはありません。
カラー・アニメーションを行っています。
森林の中を進むタイガー戦車が、M4シャーマンと遭遇、先に発砲されるもそれを弾き返し、逆にこれを撃破する場面です。
現在の目からすれば、それほど質の高いアニメーションではありませんが、逆に落ち着いたイメージで、嫌味に写ることはありません。
アニメーション時間は「提督の決断2」と比べて短いですが、センスにかけては「提督の決断2」の遠く及ぶところではありません。
★★★★
資料価値 さすがGAMという出来です。
約100ページのマニュアルの半分程度を、兵器の資料に充てています。
個々の兵器のデータは搭載していませんが、各国の主力戦車の系譜について分かりやすく解説してあります。
また、個々の兵器のデータは、ゲーム中に兵器を参照することによって確認することが出来ます。
もちろん、実測値。
★★★★
難易度 素人さんがやっても、そこそこいい勝負になります。
しかし、CPUの採る戦術があまり適切なものではなく、また国ごとに特徴づけられているわけでもないので、慎重ささえあれば何とかなります。
あとは、間違っても日本軍を選ばなければ、人間がCPUに敗れることはまずないでしょう。
★★
総評 擬装による待ち伏せや、低速走行による命中率の上昇など、一通りの戦術は再現できます。
しかし、その再現性が完璧ではなく、やや甘い部分もあります。
例えば遠距離からの重砲支援では、戦車を破壊できないなど、やや首をひねりたくなる場合もありました。
それらを差し引いてしまうと、結局は使用する戦車の性能が勝敗を左右する最大要因となってしまいます。
戦術級ゲームである以上、もう少々戦術による部分を重要視してくれても良かったのではないか、という気がします。
★★★

「タクティカル・タンク・コープス」「タクティカル・タンク・コープスDX」は、GAMの著作物です。


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