提督の決断


対応機種 PC-9801 VM以降 MS-DOS
PC-8801 VA
その他MSX等
価格 12800円
発売年度 1989年
備考 HDD非対応 I.Oバンク方式増設メモリ対応


紹介
言わずと知れた光栄の作品です。
太平洋戦争の全期間を扱った戦略級シミュレーションゲームです。
プレイヤーは、日本海軍あるいはアメリカ海軍を受け持ち、相手国の艦隊の全滅、あるいは艦隊の母港になりうる都市を全て占領することを目的とします。


内容説明
完璧に初心者向けで、少しでもこだわりを持ってしまうと途端に不満爆発もののゲームです。
どの辺が大爆発かと言うと・・・多過ぎて挙げきれない(笑)


一例として航空機の話を。
このゲームでは零戦や九七艦攻といった機体の区別がなく、戦闘機・爆撃機と言った機種の区別しかありません。
これでは五式戦や四式重爆などといった「機体」に対する思い入れができません(笑)
思い入れはともかく、どの航空機を生産して戦線に投入するかなどの駆け引きも不可能ということです。
大戦前半に生産しておいた九六艦戦が最新鋭のF4Uと対等に戦えるわけですから、いかにもまずいです。
シミュレーションゲームとしては、この一点においてすら致命的な欠点と言えます。
ところが・・・。
その航空機の生産が、一日で3000機・・・。
それどころか、あれほど日本が苦しんだ輸送船の調達も、一日で500隻が完成・・・。
当時の兵站部門の担当さんが聞いたら泣いて喜ぶような夢物語ですが、これができてしまう!
恐るべし。一体なにをどのようにシミュレートしているのでしょう。


苦言ついでにもう一つ。
シミュレーションゲームというカテゴリーと、ウォーゲームというカテゴリーとは別に評価すべきだと思っていますので、ウォーゲームとしての評価をしましょう。
このゲームの最大の特徴と言えば、プレイヤーの判断だけでなく、「提督の決断」、つまり提督の能力もゲームのファクターとして重要な位置を占めるという点です。
しかし事実上、そのゲームの名前の由来にもなっている「提督の決断」の部分は、ほとんどゲームに反映されていません。
実際にプレイしてみるとわかりますが、提督はほとんど不要です。プレイヤーの判断がすべてを決すると考えていいでしょう。
ゲームとしての特徴を出すために、シミュレート部分が不完全になるのは、企画サイドの選択です。どちらかを犠牲にしてもう一方を満足できるようにする手法は、次善の策としてよく使われます。
ですが「提督の決断」の場合は、両者共倒れという結果になってしまいました。


評点
操作系 マウス対応。なくてもOKです。
初期の光栄の作品は操作がとても楽です。とっつき易さは折り紙付き。
★★★★★
グラフィック 艦艇図は、デッサンは悪くはないですが、ディザが粗いです。
水線下の部分まで描いており、努力はしているのかも知れませんが、いかんせん画像自体が小さく、その上細かいディテールが判然としない描き方なので、線画を採用した他のゲームに比べると明らかに見劣りします。
マップについては、特に可もなく不可もありません。
あとは、画面右端のコントロールパネルに、状況を示すCGが表示されますが、この中の一枚が後々、社会問題を引き起こしたことは周知の事実ですね。
★★
音楽 宇宙戦艦ヤマトの音楽を担当されたあの宮川泰作先生の手によるものです。素晴らしい。このゲーム最大の売りでしょう。
もっとも、音楽CDの方は今一つでしたけど。
★★★★★
オープニング 」ほどではありませんが、かなりセンスはいいです。モノクロでやったのが最大の勝因です。
同じものをカラーでやっていたら、恐らくもっと評価が下がっていたでしょう。
カラーにすればいいというものではありません。モノクロの表現力は時としてカラーのそれを上回ります。
16色環境では、相当腕のいいグラフィッカーを使わないと、チープさ丸出しに終わるだけですから。
★★★★
資料価値 冊子が三冊添付されています。
「艦船総覧」はゲーム中の登場艦船総覧であり、史実と混同してはいけません。「太平洋海戦記」も「太平洋戦争年表」も、細かい部分で誤りが多いのが気になります。
ないよりマシ、というところでしょうか。
★★★
難易度 難易度調節は10段階。主として相手の物量で調節されるようです。基本的な思考ルーチンは変わりません。
全体としては、長期的な視野を持たずとも勝てます。何せ大和特攻から日本勝利にまで持ち込めるゲームですから。
総評 位置づけが難しいゲームです。
シミュレーションゲームとして見るならば失格なんですが、単にウォーゲームとして見た場合、意外にバランスがとれています。本来企図した部分は不発に終わっていますが、いわゆる遊べない「くそゲー」ではないのです。
そうなんですが、パッケージには堂々と太平洋戦争のシミュレーションゲームとあるので・・・・・・そういうゲームなんだと割り切ってやるしかないですね。

最後に一つ。
対CPU戦の際の注意点は、ハワイを陥とさないことです。
ハワイを陥落させると、米軍はその動きを完全に止めてしまい、ゲームにならなくなります!

★★★

「提督の決断」は、株式会社 光栄の著作物です。


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